もったいないもったいない

竜巻襲来後のようでした。
引越し作業がひとまず終わり、
100平方メートルほどの大きなスタジオで
他の部署のスタッフと約60人で半年間一緒に
シェアすることになります。

それにしても、「もったいない、もったいない」の連続でした。
大量の辞書、図書、テープ、オープンリールが放出されました。
捨て物の山を穿り返して、面白そうな本などを救出する後輩もいましたが、
拾いきれません。置く場所がないのと、拾ってもいつ読むか、
使うかは分からない、結局大量に捨てられました。
私は一番もったいなく感じたのは、大量の音声記録が捨てたことでした。
とにかくテープのところを一つ一つチェックして、
見た範囲、昔の番組の録音と書いたものを全部拾い出しました。
後で聞いたら、国慶節35周年の記念式典の報道とか、
3000人の日本人青年の訪中とかの内容が出てきました。
びっくりびっくり…1984年の当時の自分を思い出しながら、
聞かせてもらい、不思議な気分に浸っていました。

当時の我が家にカジカセが初めて買いました。
テープはたいへん高価なもので、一本一本全部家の財産のようなものでした。
ブランクのテープに好きなラジオ番組を録音して、
数回聞いた後、また繰り返して録音につかっていました。
それが、今は、山になるテープがもらう人もいなく、
捨てられるなんて。。。心が痛くなる話です。

オフィスの引越しはこれで10年ぶりだそうです。
前回も大量に古い資料を放出したようで、
どんどん身軽になり、若返りしたと同時に、
とても大事な記憶も少しずつ消えていってしまうような
もったいない感じも拭えません。

では、これからの時代は?
ペーパーレスが進み、すべてハードディスクの時代になります。
捨てる時は、再度フォーマットし直すか、
パソコン上の削除をすれば良い。
有形のごみという形になりませんが、
処分のものから宝を掘り返す楽しみもなくなり、
運よく価値あるものを手に入れる期待を持つこともできなくなります。
それから、保存していないものは、
徹底的に世の中から消えてしまう、という恐ろしさもあります。