13億人のシナリオ
13億人がアテネ以降、あるシナリオを書き続けて来ました。
しかし、そこには、せいぜい二通りの展開しか用意していませんでした。
言うまでもなく、圧倒的に多いのは、期待も込めて、ヒーローの勝ちでした。
しいて言えば、不本意にも、ヒーローが惜しくも抜かれて、2位になってしまう
ストーリーも受け入れる用意があります。
しかし、不戦敗になったとは。ルール違反の予想外でした。
こう思った人が多かったのではないでしょうか。
ウォーミグアップ中、ヒーローは赤ら顔になり、苦痛な表情を見せました。
おかしい。決して、戦場に赴く前の威勢が見られない。誰も不思議に思っていました。
10分ほど前、第2トラックに、かつてのチャンピオンのアメリカ人選手が
足の故障で途中で棄権したばかりでした。
第6組の予選が始まりました。
フライングがあり、ヒーローは右足を引きずり、スタートラインに戻ったかと思いました。
が、戻ることなく、背中を向けて、ミックスゾーンに向かって、歩きました。
鳥の巣の中はフリーズしました。
私の職場の中もフリーズしました。
さっきまで、「しっかりしろう」という声がありましたが、何が起こったのか、
分からなくなりました。
しばらくして、棄権が確認されました。
13億のショックでした。
怪我の様子を欺瞞したのでは、という不信感がありますが、
劉翔選手に対しては、「中国は金メダルに不足することはないから。気楽に」
と劉翔を慰めた同僚も。
深夜のCCTVの白キャスターの話に心が打たれました。
「劉翔は素晴らしい選手だ。
今日の棄権で受けたショック以上に、これまで、私たちに多く感動を与えてくれた。
ありがとうの気持ちは変わらない」。
刻一刻、五輪の舞台で何が起こるか、本当に分からない。
スポーツの醍醐味はその残酷さと紙一枚のものでもあるようです。
■五輪開幕式のDVD、55元に■
くやしい。
同じ店で、同じ品がわずか数日で、55元に値下がりして、売られていました。
「どういうことじゃ?」
抗議の申し入れをしました。
「最初に到着した品は、飛行機で即発送してくれたものなので、
仕入れ値が高かったので、売値も高かった。
しばらく前、48元の卸値で売っていた店もあったが、
今は取り締まられ、どこも55元で統一したよ」。
同情心があまり感じませんでした。
さすが、海賊版は見られませんでした。