GPSで製品を24時間モニタリング、重役に中国人抜擢
〜某建機会社海外営業本部長の話〜

「中国進出50年」を誇る大手建機会社Xの中国戦略についてのお話。
建築ブームや都市化率の向上に伴い、中国市場の成長ぶりは好調。利益成長率が2002年から年平均15%増を実現。現在、会社売上げ総額に占める中国マーケットのシェアはまだ5~6%程度だが、向こう五年でそれを15%に増やしたいとの抱負を抱いている。

中国がこれまで納入した総台数は1万台以上に達しているという。驚いたのは、そのきっちりした製品への管理体制。GPSを駆使した24時間フォローシステムが3年前より導入。全中国の建築現場や鉱山で稼動されている建機の1台1台につき、一時間置きに更新されたデータが自動的に入ってくる。これにより、品質管理や顧客への情報発信をしている(25万分の1の地図は中国は開放した)。意外にも、このシステムの開発者は、X社ではなく、中国の販売店経営者で、Ⅹ社がそれを買い上げただけだったという。最も、X社には似たような管理システムがあるが、日本でまだ全面的に使われていない。欧米などでは使っていないらしい。「新しい知識や情報に対する敏感度が違う」という原因のほかにも、中国の独特の建機購買ニーズとかかわっているようだ。
建機の中、最も平均的なものは1台1000万円(約70~80万RMB)。購買層は昔は一括払いの会社が多かったが、現在は個人顧客層がメインとなっている。かつて、話題になっていた「麦客」(コンバインを共同で購入しては、麦の刈入れ時に貸し出す業務をする人のこと)と同じように、個人もしくは家族、村落で建機を買って、国家プロジェクトにブルドーザーなどを貸し出すようだ。ほとんどの顧客は頭金30%を支払って、残りの資金は割賦にて支払う方式をとっている。これがハイテクの管理方法導入された背景という。3ヶ月以上支払いを遅延した場合、エンジンがブロックされてしまう。90%以上の人が警告を受け取ってから直ちに支払うべき費用を払っていたようである。また、盗難されそうなところをデータ追跡で発見し、タイムリーに防げたという思わぬ好効果を発揮した例もあったという。

人事に関して、各日系企業の中でも率先して、中国総公司(上海)の総経理に中国人を起用した。話題の総経理は元々は北京事務所の職員。誠実な人柄と有能さが見込まれ、本部長の北京勤務時代から深い信頼関係が築かれ、ゴルフの打ち方から、北京日本人商工会会員加入まで日本文化と日本人との付き合いから仕込まれていた。現在は17人の日本人部下を率いて上海で頑張っているという。

抑えられない成長の活気が伝わってくる現場の話だった。