観戦:『ゲド戦記』

本日の九段下にて。
昨日は、全国の膿が一斉にここに合流して、悪臭を放っていたような異様さでした。その騒ぎはウソだったのかと思われるほどでした。相変わらず普段に比べ、人出が多そうでしたが、昨日のような恐ろしい形相はありませんでした。癲癇が過ぎ去り、病と共存する常態に戻ったようです。



ゲド戦記』感想

全体として、面白かった作でした。癒し系と励まし系って感じかな。
景色や背景、キャラクターの顔、
そして、風に吹かれて、衣服や髪の毛が靡かせているしーんは、
確かに見覚えのあるようにも思いました。
内容的に、今の日本社会の抱えている悩みにかなり触れていたようで、
興味津々に見ることができました。
コンパクトにまとめますと、
①来し方を振り返って
 父を刺し殺したアレンの苦痛:
 「何故そんなことをしただろう。自分にも分からない。ぼくの中のもう一人の自分を抑える  ことができなかった。」
 →とっさに思い出したのは、某教科書の記述:
  (大意)「日本は目的も分からない泥沼の戦争に陥った」。 
②光と影
 両者は常に一体になっているのが、物事の本来の姿である。
 大事なのは、バランスの取れた共存ができること。さもなければ、世の混乱が招かれかねな い。
 →勝ち組と負け組の二分化社会
③生と死について
 「死ぬことを恐れているのは、実は生きることへの恐怖なのである」、
 「生きているものはいつかは死ぬ。死があるからこそ、生きることに喜怒哀楽がある」、
 「生きていることに不安はつきもの、死が怖いと思うのは皆が同じである」、
  命の継続への肯定。
 →悪質な犯罪の顕著化、生と死への人間らしい感覚の喪失

ほかにも、精神の漂流している日本社会に、「まことの名」を蘇らせ、精神性を構築しようとの呼びかけも見えるようです。そう言えば、テナの髪型は、何故神武天皇のようなお下げになっているのが、気になります(笑)。