月亮巴巴

地球と月の距離は、38万キロ。
地球一周の距離は約4万キロ。
つまり、月までの距離は、
地球を約10週するのに相当のようです。
容易な旅ではないことが想像できます。


無事打ち上げられた「かぐや」は、遠い旅を始めました。
中国の「CCTV−新聞」は発射をめぐり、
20分の生放送特番を送りました。
http://news.cctv.com/science/20070914/102821.shtml
「かぐや・セレネ」は中国語では「月亮女神」と訳されています。
生番組で、ゲスト出演していた中国人の宇宙学専門家は、
「各国が相次いで月探査計画に乗り出しているが、
 互いには競争関係というよりも、協力関係にある」と肯定的。
とりわけ、「今回は、日本は月の重力場及び月の裏の重力の研究をする」
ところが、これまでになかった試みだと高く評価していました。


しかし、中国人から見れば、
日本社会は「かぐや」の打上げ成功ニュースについて、
思ったほどの注目は見られなかったことです。
それどころか、一歩距離を置いて見ている感じすらしています。


3年前、中国が有人宇宙飛行に成功した日、
私は取材で湖南省西部(湘西)にいました。
夕方頃、少数民族の小さな町をぶらぶらしていたら、
大勢が電気屋の店頭に群がり、
テレビの実況中継に釘付けになっていました。


考えてみれば、中国にはかなり絶対的な価値観で、
科学崇拝、技術崇拝というような考えがあるかもしれません。
目的はさておいて、月を探査しにいく、と聞くだけで、
血が沸騰してしまい、
敬意が生じるようなところがあるのではないでしょうか。
一歩、距離を置いて見るという日本人の反応に、
ひょっとしたら、見習うところもあるかもしれません。


月というと、子どもの頃の子守歌を思い出します。
しかし、後の文はすべて忘れてしまい、
出だしの「月亮巴巴♪」だけは根強く覚えています。
電気のまだ通っていなかった村では、
月夜になれば、村中の子どもが出かけて、
かくれんぼうや鬼ごっこをして遊んでいました。
皓皓たる月の光に楽しいゲーム、そして、祖母の歌。
38万キロもの遠いところから照らしてくれたとは、
知りませんでした。

月というと、中秋節も後10日ほど。
月餅のシーズンがやってきました。
今日食べた緑茶の餡は、安くて、なかなかおいしかったです。