井村雅代コーチ、加油!!

番組「夏のネット対話」の制作がご縁で知り合った
シンクロの井村コーチにゆっくりお話を伺うチャンスがありました。


「ニイハオ!」と素敵な笑顔で握手され、
華やかな雰囲気で座が和みました。
「中国語が上達しましたね」と驚いて思わずほめましたら、
「日常会話はゼンゼンだめ。
 覚えたのは、必要な言葉ばかり。
 『再来一遍』、『向上擡』、『一直笑』…」
普段の会話では出てこない用語を流暢に発令して、
聞かせてくださいました。


「五輪出場選手のセレクトがこれから始まる。
13人いる中国代表の中から、10人を選び出す。」
聞くだけでも、頭が痛くなりそうな過酷な選択だと思いますが、
余裕のある素敵な笑顔とエネルギッシュさがまったく変わりません。


井村コーチを迎えた中国代表には、様々な変化が起きました。
選手たちに「お愛想笑い」と「挨拶」を叩き込ませる。
はかりを買って、ご飯も骨付き肉も一緒の皿に盛って出す
食堂の食事を、食材別に量をはかってから食べさせるようにする。
体質や筋肉の中身をMRI分析することを導入する。
さらに、
選手たちに平等に、公平に選抜に参加するチャンスを与える…
周りから、改革に見えるこれらの動きは、
ご本人にしてみれば、「当たり前のことしかしていない」と言います。
「採点競技は結局、審判員の採点で結果が決まる。審判員も人間だ。
 無愛想な人によい点数をつけることはない。」
笑顔と挨拶の習慣を身に着けようと強調したわけがここにあると言います。


[[写真は7月末に撮影。
休みの時は、選手たちと冗談を言い合って、和気藹々の雰囲気でした。
]]


周に一回は休めるようですが、翌日の休日は、
選手たちを踊りのステージに連れて行くとおっしゃいます。
ステージの鑑賞のみにあらず。ぽろりとこんな「秘密」を明かしてくれました。
「シンクロも踊りなので、
 嬉しい時に笑い、悲しい時に涙を流す。
 選手の豊かな感受性を求めるスポーツなのだ。
 ステージを楽しむついでに、
 選手たちの反応をこっそり傍から観察したい」。
公平なセレクトができるよう、参照物を得たいことが目的のようです。


中国に招聘されて、「中国人になる」と宣言した外国人コーチもいましたが、
「私は絶対中国人にならない。日本人のままでいる。
 中国のやり方に妥協せず、
 日本人から見て、不合理と思うところをどんどん改善していきたい」。
譲らぬ井村流儀で、中国スポーツ界に変化をつけているようです。
そんな井村監督による、斬新な中国のシンクに期待したいです。


帰宅後、御礼のメールを出した私に対して、
さっそく返事が届きました。
「スポーツのコーチの目標はどの国の選手を勝たせるかではなく、どんな目標に向
かってどんな演技に向かって進むかである。…これが私のコーチングの根底にあ
るものです。」


心から敬意を払います。
そして、目標の実現に向けて、加油