舞台用語

最近行われた中日共催のステージで、
ほんの少し、通訳としてお手伝いしました。
極々基本な舞台用語をピックアップしてみます。


中国語⇒ 日本語
流程 ⇒Qシート
走台、走台位、试场、试场地⇒場当たりする
合、合一遍、走一遍 ⇒合わせる
就位 ⇒いたつき
场灯 ⇒客電
功放 ⇒アンプ
监听、返送⇒ モニター
耳机监听 ⇒イヤモニ
回响、混响⇒バーブreverberation  残響
上场口 ⇒下手
下场口 ⇒上手
即兴演奏 ⇒インプロビゼーション
中线 ⇒センターライン
车台 ⇒ひきわく
退场 ⇒はけ方
假弹 ⇒あてぶり
假唱 ⇒口ぱく


双方の仕事の仕方は、かなり違うようです。
よくも違いを認めながらも、一緒に仕事をやり遂げたものだと感心しました。
お疲れ様でした!!


例えば、歌う時は、口ぱくか本当に歌うか、
はけ方については、指導者が玄関近くまで退場すると、
自動的にはけるか、誰かQ(手で合図)を出すことではけるか…
また、開演5時間前に行った、最初で最後の通しリハで、
未解決の問題が明るみに出た時の反応も、
片方は、「本番で百パーセントできるためには、今、問題が起きるのは
当たり前のことだし、良いことなのだ」と思い、
もう片方は、「何故いまさら」と複雑な心境のようでした。


通訳の仕方についても、考えさせられました。
はけ方について、中国側監督の指示を忠実に訳したら、
日本側から「不可解すぎる」という顔で爆発しそうになり、
そこで、日本側の質問をもう一度訳して中国側に確認すると、
今度は中国側は赤ら顔になり、
「もう言っただろう?指導者が席を立ち、玄関付近まで歩けば、
 後は自由にはければよい!!
 これほど分かりやすいことなのに、それでも分からないのか?」、という感じ。
幸い、通訳は私一人ではなく、
双方のやり方に精通し、言葉も上手なベテランがメインで頑張っていましたので、
根気良く、「日本のやり方は普通はこうこうこうしている」と説明を加え、
日本人アーティストになじみやすい方法でやるよう求めたら、
「なら、おれが手を出すから」、という方針に切り替え、
双方は納得しました。


「何故こういう当たり前のことも分かってくれないのか」。
双方ともこう思っていたに違いありません。
後で双方に確認してみた結果、こんなことが分かりました。
日本側:公演はアーティスト優先で動く。
    アーティストが退場してから、観客が初めて退場するのが普通。
    だから、はけるタイミングは、
    演出する側が教えてくれることになっている。
中国側:何よりも、指導者に先に退場してもらうのが普通。
    後は適当に、雰囲気に任せて退場すればよい。


では、何故、このような違いが生じたのでしょうか。
ひょっとしたら、日本では、
観客はすばらしい芸を求めて、劇場やコンサート会場に行くのに対して、
中国では、「文芸は人民大衆のために奉仕するものだ」
という考えがまだ残留しているからだろうか、
アーティストたちは観客の退場を見送ることが多いようです。