移動の風景〜ハリケーンTaxi


ぼってりとした夕日。午前中の北京は、モヤがかかっていたが、
午後から晴れ上がり、夕日は綺麗でした♪



久しぶりに、正確にいうと、1年一ヶ月ぶりに
教習所に通い始めました。やれやれ…
同じ日に通い始めた同僚は、
「もう数万キロも走ったよ」といつも自慢げでした。
それに、何とか二年以内で勉強を終えないと、
また恐ろしい法規テストから受けなければならない。
学費も水の泡になるし、
これ以上恐ろしいことはない。頑張ります!!


幸い、今日は良いコーチに恵まれました。
今日は一年一ヶ月ぶりの「縦列駐車」(侧方位停车)。
3回あるレッスンの一回目でストップしてしまいました。
ハンドルを回したり、角度を確認したりすることで精一杯になり、
転向ランプをつけるのをすっかり忘れてしまいました。
それも、何度も、何度もきれいに忘れてしまいます。


しかし、コーチはちっとも怒らず、何も口出しもしません。
ただ、練習している最中に、礼儀正しく、もっともらしく、
「すいませんね。ちょっと待っててもらえませんか。
 電話しなければならない用事ができましたので、ごめんください」
と頼んできました。
「はい。かしこまりました。どうぞ」と言ったところ、
携帯電話を取り出しました。
しかし、番号は押さずに、
直接、受話器に向かって、演技を始めました(爆笑)。


「もしも、120番ですか。ただいま、
 車の衝突事故が起こりました。
 事故を引き起こした運転手は…」


といった調子でした。
幸い、縦列駐車はスピードがいらないため、
練習を繰り返すと、うまくできました!!!
完璧です(^^)
この調子では、試験は問題なく完璧にこなせます(笑)。
縦列駐車よりも恐ろしいと思っているのは、やはりスピードかな。
スピードを出すのが恐ろしいことです。
それに、習っているオートマチックではなく、マニアルです。
まだまだ要練習です。


[[さて]]、最近、移動しているに見た面白い?驚いた?珍しいシーンを
スケッチしてみます。


■市バス■
日曜日の昼下がり。
二台つづりの長いバスに乗った。二バス停という短い距離の利用だった。
真ん中の連結部分が人が少なかったので、
とりあえずそこに移動した。
背中を車体に寄りかかって、目的地に到着するのを待っていた。
突然、隣に向かい合って立っている若い子二人が、
ブチュブチュと唇を近づけた!!
けど、待ってよ!何気なく聞こえてきた会話の声では、
二人とも女の子のはずだった。
何気なく、もう一回私の対面に立っている子を見直した。
パンクの男の子っぽい髪の毛に、ジャンパーにジーパンにスニーカー。
細くて、小柄。20代前半。右手の薬指には銀色の太いリングが嵌めている。
しかし、のど仏ないし、明らかに女の子だ。
今度は何気なく、私と肩を並べて立っている子をチラッと見てみた。
女の子らしい綺麗な顔立ちに、ぴちぴちしているピンクっぽいほっぺた。
ぽっちゃりしている。前髪が眉まで伸びていて、パンマーがかかっている。
その子も同じリングを嵌めている。
どの子もその辺を歩いている今風の大学生にしか見えない。
二人はずっと手を取り合って、見詰め合って、おしゃべりをしている。
見詰め合っている瞳の中には、
愛の炎が燃えていることが、誰が見てもすぐ分かる(笑)。
話の内容は全然印象に残っていないが、たわいのないファッションことや
友達のうわさだった。しかし、10分しないうちに、ブチュブチュが何度も聞こえた。
傍若無人だった。
愛し合うことは大いに自由ですが、バスの中でのブチュブチュは、ちょっと…


■地下鉄!!■
なんたらことを。
地下鉄の中で夫婦喧嘩に遭遇した。
“和谐社会”を目指している中国なのに。
やはり不和谐が多すぎるからそうしたスローガンを掲げるようになったのかなと思った。
つばめは北京に来て、19年になるが、こんなことは初めてだった。
二人は乗っているうちにちょっとした喧嘩を始めたという感じではない。
冷戦状態がずっと続いているようだった。
家の中での喧嘩をそのまま場所を買えて、地下鉄の中に移してきたようだった。
これもこれでどうかなと思った。ひたすら驚いた。


夕方のラッシュアワー
突然、女性のののしり言葉が聞こえた。かなり乱暴な言葉だった。


「帰らないと言ったら、絶対に帰らない!バカヤロー。
 あなたと一緒に帰るよりは、死んだほう増し。
 帰ったら、どうせあなたに殴られるだけ。
 もうあなたと離婚する!!!」


声の出す元を見てみると、5メートルもしないところに、
中年夫婦を見た。二人とも疲労困憊しているようだ。
髪型もファッションにもなりふりかわない、倦怠期の夫婦だろうか。
二人はどこから乗って、どこに行こうとしているのかは、
分からない。ただ、私が乗った時にもう乗っていて、
30分後、私が降りた後も乗っていた。
どういうきっかけで喧嘩の場を地下鉄に移したのか、知る由もない。
ただ、時たま喋り捲っている女性の声から物事の流れを察した。


二人は高校生以上の子どもがいる。
夫は収入が高くない上、家族に対し、責任感も強くない。
妻は子育てに一生懸命だったし、家を守ってきた。
しかし、夫は家の財産を夫が独り占めしようとしている…


こちらも傍若無人に喧嘩しあっていた。
しかし、待ってよ。傍若有人だった!
男性はしばらくずっと黙り込んでいて、
「一緒に帰ろう」と女性を説得しようとしていたが、
今度は彼は大きい声を出した。
「一体、誰が理不尽なことを求めているのか、
 ここにいるみんなに判断してもらおう!!」


おいおい、「ここにいるみんな」と言っても、
誰もあなたたちのことを知る人がいないのよ。
どうして、勝手に巻き込もうとしている?
これこそ、もしかして、
喧嘩の場を大勢の人がいる地下鉄の中に移した理由???
「地域共同体の崩壊で、日ごろの生活の中から、
 『みんな』が消えたので、審判役になってくれる人もいない。
 仕方がなく、知らない人の前に出て、喧嘩するようになっている」
ということなのかな。


わけの分からないシーンだった。
ラッシュアワーということもあって、
乗っている乗客の多くは若い人だったため、
誰も自分のことが「みんな」と思っていなく、
誰も喧嘩をやめるよう説得する人もいない。
私が座席に座っていたらば、席を譲って、
「ゆっくりどうぞ」とでも声をかけたかったが、
シートに座っていた若者たちは目の前の出来事が
自分と何の関係もないと思っているらしく、
それぞれ携帯に没頭になっていた。


夫婦にとって、寂しくてたまらない喧嘩だったに違いなかった。
しかし、喧嘩はなんとも見苦しいものなので、
ご自宅に戻って思いっきりすればよいのではと心からそう思った。


地下鉄は移動するための交通手段に過ぎないのに、
地下鉄を「移動している社会」と見ている人が多いようだ…



■タクシー■
ピチピチパチパチ。。。。
2@#(^%)_)_&%%&)+__++)@*&&^%


朝。
こんなにおしゃべりするタクシーは初めて、ではないですが、
朝早起きした分、移動中に居眠りしてみたい計画は見事にパーになった。
無線をつけているドライバーだった。
ほどほどに道路状況を聞いて、それで終わりにすればよいのに、
乗客を完全に「貨物」と思っているようだった。
人間としての存在が完全に無視され、
トランシーバーでのチャットにはまっていた。


ピチピチパチパチ。。。。
2@#(^%)_)_&%%&)+__++)@*&&^%


うるさかったよぉ〜〜〜


道路の渋滞状況の実況中継はまだ我慢できる。
それ以外にも、「小不点(ちびちゃん)」だの、
「苹果园」だのとあだ名で呼び合い、
おいしいレストラン情報や、土日の温泉の度、
「次回、我が家が集まって一献を」、諸々。
話題が無限に広がっていく。
興奮している。


しかし、にくめなかった。


「タクシーの運転手は孤独な仕事だ。
 おしゃべりが好きな乗客だと、話の相手になってくれたが、
 お客さんはたまたまご機嫌斜めの時だと、
 ずっとブスっと黙り込んでいる。
 淀んだ空気が車内に漂っているのみ。
 毎日、13〜14時間も運転して過ごすので、
 話をしないというのは苦痛だ。
 アマチュア無線を取り付ける前までは、
 それはそれは寂しい仕事だった。
 一年前に、無線を取り付けてからは楽しくなったよ
 (???しかし、乗客の苦しみが増えたかもよ。)
 設備はもちろん自腹だ。2000元かかった。
 しかし、友達が増えたし、何か調べた時はとても便利。
 ラジオの道路交通情報よりもリアルタイムで道路の様子が分かる。
 それに、世界でたった一つ、私に属す番号がもらえるもの。
 世界唯一の私の登録名があるのよ。
 私の番号は×××××××
 また、友達同士で呼ぶ時は、あだ名で呼び合っているけど。
 私の名は“ハリケーン”。


 仕事は大変かどうかって?
 それはたいへんな仕事なのよ。
 毎日13〜14時間働いて、毎月の手取りは3000元ちょっとだもの。
 会社に上納する分は4300元。。。


 なに?ガソリン税についてどう思うって?
 昨日良いたとえを聞いたよ。
 ガソリン税の改革案について、パブリックヒヤリングをしていると
 国が言っているけど、これは、たとえていうとよ、
 これから羽が抜かれるガチョウに対して、
 『おい、どのように抜けばよいの』と聞くのと一緒のことだ。
 どこの羽だって、抜かれたらそれは痛いのよ…」


最後に、ハリケーンさんに習った言葉は
“多进大米,少拉公里”
(お米を数多く、キロ数を少なく)。


「米はお札さ。私たちは自分がねずみのようだと自嘲している。
 ねずみのように朝早くから夜遅くまで働かないとだめなので…」