スーパーの野菜のばら売り

突然ですが、団地の密集するエリアの対面の空き地に、営業面積1.8万平米の大型スーパーが開業しました。
私のアパートの1階にある野菜自由市場や小型スーパーの悪夢の始まりです。


開業のバーゲンセールで、殺到する買い物客で売り切れになった品物も多かったと聞きます。
最初は「せいぜい開業してからの数日間のことだろう」とも見られていました。
ところで、開業1ヶ月ほどで、見る見る、アパート1階の店舗が半分近くに減りました。勤勉な南方人夫婦の経営していた魚の屋台が消え、東北なまりのタマゴ売りのおばちゃんもいなくなった(アヒルの卵の塩漬け、おばちゃんのところのが一番おいしいのに!)
小型スーパーの中は、冷凍庫が空っぽになり、米すら売らなくなり、在庫品処理する勢いで品物を陳列し始めました。
「まもなくリニューアル開始」といううわさもあるが、果たしてどうなるのか。
ただ、自由市場でまだ堅持している屋台経営者の顔には
憂いの表情がどんどん増しているのが事実です。
暇しているから、そうなるのも仕方がないことです。
「みな、あっちのスーパーに行ってしまった」と
箸が落ちても笑っていた河南省の女性は、売れない野菜を
前に心配そうな表情を見せました。


私は自分の住宅のすぐ下にある市場とスーパーを愛用しています。
何せ便利だからです。自転車に乗る必要もなく、買い物ができる。すごいことと思いません?


しかし、大型スーパーの繁盛振りは一ヶ月経った今も勢いが衰えません。
市場の業者たちにとって、本当に厳しい戦いが始まったようです。


今日の夕方、改めて退勤後の時間帯で大型スーパーに入ってみました。がらんとした自由市場に比べて、
ここは溢れんばかりの人出でした。
実感が湧いてきました。
最初から不均衡なこの力比べに、自由市場のほうが
極めて不利な状況に立たされています。


何せ、大型スーパーの品物の値段が安いこと。
しかも、野菜や肉、魚などすべて計り売りも行っています。
自由市場なりのサービスです。
しかも、店内はきれいだし、いやな匂いもありません。


「すべての生鮮野菜や果物は産地直送のため、
 新鮮さを確保します」、とでかでかと壁に印刷されたPR文言が
目に入り、質も信頼できそう…


これじゃ、個人で野菜卸売り市場から仕入れる屋台経営者は
太刀打ちできません。
けれども、私は自由市場が好きで、何とか頑張ってもらえないかと心から願っています。
自分の家のすぐ下の階にあり、便利なのと、
融通が利くし、経営者とあれやこれや世間話をしているうちに買い物ができるため、楽しい。
それに、経営者のほとんどが出稼ぎ労働者で、彼らは
どれだけの苦労があって、やっと自立して屋台を経営できるようになったのでしょうか。
アパート1階の市場だって開業まだ3年ほど。
当初も漂流しながらやっとここにたどり着いたと思いますが、それがわずか3年ほどで、
また次の漂流先を探さなければならなくなるとはかわいそうです。


もちろん、大型スーパーも大型スーパーで、
たくさんの雇用チャンスを作り出し、優良な品物を安い値段で提供してくれている良さがあります。
けれども、広すぎたため、入り口は一階で、レジは2階と言ったように、「ちょっと行ってくる」という感覚で必需品を買ってくることができません。
それから、確実にこれが問題だと思ったのは、
プラスティック袋とトレイの過度な使用です。
それにリサイクルのやり方は導入していないこと。
去年6月に、全国でレジ袋の有料化を導入して効果が上がりましたが、量り売りだと不可欠なのは袋です。
同じ値段の品物でも、
品目ごとに売り上げを計上しなければならないので、
一つずつ袋を使わなければなりません。
そういうわけで、あっという間にかごの中は
袋だらけになってしまいました…


感情的なことはさておいて、広々とした駐車場を持つ
郊外型の大型スーパーはどうやら避けられない流れのようです。
効率がよくなり、買い物の近代化感が高まるが、
生活エリアの中から、雑踏が消えつつあります。
大きな物流革命を控えている中国の今の現状です。