中国、映画のシーズン 秋の東京で上映する中国映画

映画大好きの元日本人同僚Aさんからの案内です。
今年の東京国際映画祭で以下の8作品が上映されるようです↓
http://www.tiff-jp.net/ja/lineup/title_24.html


この中、つばめとAさんが一緒に字幕を翻訳した映画もあります。
《非诚勿扰》と《寻找成龙》の2本です♪
ぜひぜひ東京近辺の方、お時間があればご覧いただければ嬉しいです。
中国語→日本語への映画字幕の翻訳は今回が初めてでしたが、
普通の通訳と違うコツがあるようで、今回はAさんのお陰で
たいへん勉強になりました。
短時間で仕上げなければならなくて、追われてたいへんでしたが、
面白い体験でした。
映画をご覧になった方、ついでに字幕翻訳について気づいたことがあれば、
ぜひお教えいただければ幸いです。


映画というと、国慶節前の北京はまさしく「映画のシーズン」です。
職場の近くにあるシネマーコンプレックスでは
9つの映画館からなっていますが、現在上映中の映画が13作もあります。
一部の作品は2、3日待ってからでないと見られなかったりしています。
しかも、9月1日〜20日までの間、すべての来場者に漏れなく
映画鑑賞券を配布するキャンペーンを行っています。
後日、この鑑賞券をもって、市内のどこの映画館ででも
10元を出せば、どんな映画でも見られるようになります。
中国では映画鑑賞の料金は40元〜70元なので、
お得で実用的な鑑賞券と言えます。


さて、目下のいちばんのヒット作は何よりも14日から上映開始の『建国大業』です。
さっそく見させてもらいました。
時間は1946年、重慶での国民党と共産党の平和協議から
1949年、新中国成立の式典が開催されるまでの4年ほど。
チャンツーイ、ジャッキーチェンをはじめ、数秒しか出ないような
脇役も超有名役者が起用されていることとして話題性満載。
だからでしょう、時々映画館にストーリーとは関係なく、
キャラクターに対して、時々笑い声があがりました。
それはそれでコントラストがあり、面白かったです。
感想は、歴史を分かりやすく整理していたことでした。


ワンパターンの愛国映画という単純なイメージよりも、
娯楽性を十分に意識したエンタメ映画でもあるということかしら。


これまでよく見られる国民党を貶す立場というよりも、
実情はどうだったのかを描写し、
また、蒋介石のシーンは、蒋の視点に立って物事を見るようにしていた
ところも印象的でした。
メインキャラクターなど、どれも鮮明な印象を残すことができました。
個人的に一番評価したかったのは、蒋経国役でした。
国と党、それから蒋家の運命を憂えて、
あたうかぎりの力を注いで救おうと努力しましたが、
ついに挽回する術も力もなく、むなしく大陸を離れて台湾へ赴く。


映画の中で、ほかのキャラクターは大きくは、
成功したか失敗したかでまとめることができますが、
彼だけは成敗を乗り越え、悲壮さというか、
悲劇性というか、他の人の持ち合わせない雰囲気を感じました。


ちなみに、映画の中で出てきた「解放軍の渡江」はまさに私の故郷で起きたことで、
今年68歳の父の子どもの時の記憶に残っていた出来事でした。
それから、兵力不足になった国民党軍は農村での強制徴兵(“抓壮丁”)については、
19年前になくなった祖父はまさに徴兵から逃れるために、
20代〜30代ずっと逃げ回っていたようです。
映画を見ながら、子どもの時に聞いていた思い出が蘇りました。


新中国の成立について、「もう60年なのか」と思う時もあれば、
「まだ60年しか経っていないのか」と思う時もあります。
名を残す歴史人物のストーリーは表舞台で繰り返して語られていますが、
それを支えていた名も知られない無数の民衆のストーリーは
長く、強く彼らの子孫たちの記憶に残っています。