「ネット水軍」、日本ではどうなっているか

 最近、中国のメディアを騒がせているキーワードは「ネット水軍」です↓
 http://japanese.cri.cn/881/2010/12/06/147s167581.htm
 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101205-00000007-rcdc-cn

 流行に鈍感な私が、この用語を初めて聞いたのは一週間ほど前のことでした。たまたま読んでいた『南方週末』紙のトップ記事に「ネット水軍」が乗っていました。それで目から鱗というか、なるほど、あのショウモない12字の書き込みが何故、爆発的な人気が出たのか、良く分かりました。

 たまたま、日本で長年生活した経験のある友人が傍にいたので、「中国はほんとにもうどうしようもないぐらいになっているね。だけど、日本ではこんなことをやっているのかな。おそらく中国特有の現象かもね」という会話をしていました。

 ところが、本日はこの「ネット水軍」のことでたまたま日本籍の同僚たちとおしゃべりしましたら、面白いことが分かりました。

 「そんなこと、企業の宣伝に使われているのは当たり前じゃないかな。自分たちで書き込んで話題を盛り上げていくというのは。やり方はもっと巧妙かも」
 「ブログの書き込みにキーワードを入れて、クリックされたら、そこから注文が入ってくると報酬が入るというブロガーもいる」
 「会社に不利な言論を見つけ出しては削除して、不利な世論に対応していくところもあるみたいよ」
 「IT会社に勤めていた友達は自分たちがユーザーに成りすまして、『良いサービスをしてくれている』って書いていたと言ってたよ」

 「ただ、日本の人は、どうせ企業の宣伝だろうというふうに見ている人も多い。ある程度、免疫はできている。どうせインターネットで書かれていることだからね、という感じで受け止めていたりするし…」

 面白かったのは、「こんなことをやっていると知らずに信じてしまい、暴露されたら、今度は『そんなこと、やっちゃいけない!』とびっくりして、騒いでいる中国社会のほうがよっぽど健全で、純情だよ」 ?!!
 
 ○○leaksで世界をにぎわしていますが、「ネット水軍」から始まった日本人同僚たちによるジャパンLeaksの数々は、私にとっては同じように「ええっ?」と思ったことばかりでした。

 本題の「ネット水軍」に話を戻します。成りすましで、情報操作をする危険性を思い知らされた出来事だったと思います。今は「規制を加えるべきだ」というあるべき秩序を強く求める声が大きようですが、とても微妙なことが絡んでいます。
 同僚によれば、日本では「自分の名前も言えないぐらいの意見は聞く価値がない」と思われている風潮があるようですが、やはりそれに比べたら、中国では匿名だから、無責任になったり、危険な言論を発する恐れもあります。一方では、「名前を明かす必要がないから、本音が言えるのよ。だから、ネットの書き込みこそ本当の民意なのよ」と思われている部分もあります。
 とりわけ、現実生活では意見を発表する場が限られていることの補足として、インターネットがあるので、今度は「ネットだからこそ、何でも心のうちが話せるのよ」という幻想が破滅しました。
 そういう意味で、中国社会はもう一つの冷たい現実に直面しているのではと見ています。