Mook誌『知日』 創刊

 こんな発表会に行ってきました↓
 http://japanese.cri.cn/881/2011/01/04/145s169100.htm
 ブログ配信から人気作家になった日本在住のエンジニア・薩蘇さんは「この雑誌の本当の目的は明日の中国を知ることにある。日本には過去、現在、明日の中国が潜んでおり、たいへん面白い国だ」と話してくれたことが印象に残っています。
 1981年生まれの編集長は日本と激戦が繰り広げられた湖南省常徳の生まれ。大学での専攻はコンピュータープログラミング。ある日、偶然に村上春樹の『ねじまき鳥クロニクス』を読んだのが運命の転換点となりました。その後、村上氏の全ての著書をほぼ読破し、「ありとあらゆるものが含まれていて、世界を見る新しい窓口が見えた」と言います。「知日」の目的は「結論を出さずに、展示をすること。展示することによって、結論はそれを見た一人一人が自分で導き出せばよい」。
 何回聞いても、価値判断は絶対しない蘇編集長と比べて、神戸在住の作家・毛丹青さんは明快に言いました。「他を知る目的は究極のところ、自分自身への理解を深めることにある」。
 創刊号のキーワードは「奈良美智」と「マシンライフ」(ちなみに、中国語では「機器・控」になっているが、意味は「機械にコントロールされて生きる人、機械マニアらしい)。
 出版関係の知人は日の丸の色からなる『知日』を手に、「視点が目新しい」とすっかり感心した様子。『人民中国』誌の王編集長は「知日をもし縦に書くと『智』になる」と彼らしい解釈をし、雑誌への期待に変えました。
 ちなみに、大学卒業して3年目の編集者の一人にざっくばらんにおしゃべりをしたら、とてもピュアで、純粋な人だと良く分かりました。そして、日本の現代アートに関して、実に良く知っていました。ただし、「奈良美智」の大のファンですが、「平山郁夫?聞いたことがないです」という返答に驚きました。
 何が本当の『知日』、本当の「知る」なのか。ほんとに難しいことです。再び思い出したのは薩蘇さんの話でした。
 「この広大な中国を生きる一人一人はあくまで一匹の蟻に過ぎない。不動産価格が高騰しただの、株価が下がっただのとそれぞれ悩みがあるようですが、所詮蟻の世界の話に過ぎません。全般の様子はなかなか把握できるものではない。中国とはどのような国なのかを見る時も同じです。本当に知るようになるには相当な努力が必要でしょう」
 まあ、何はともあれ、『知日』の皆さん、頑張れ頑張れ!

◆以下CRIから
"80后"による日本紹介ムック誌、『知日』創刊
 「日本」を専門テーマにするムック誌『知日』(出版元「文治Lab」)の創刊発表会が4日午後、北京市内のギャラリー「UCCA」(798芸術区)で開かれました。
 神戸在住の中国人作家で同誌主筆の毛丹青氏や編集長の蘇静氏ら関係者をはじめ、各界の名士約100人が出席し、雑誌誕生の背景及び異文化理解の視点と意義について、熱く語りました。 
 中国本土で「日本」を専門テーマにした唯一のメディアブランドでもあるこの雑誌。大学時代、村上春樹の小説と出会ったことから日本文化に深くはまり込んだ編集長の蘇静氏(1981年生まれ)を始め、作り手のほぼ全員が"80后"(1980年代以降生まれ)世代です。
 モットーは「it is JAPAN」。出版元は、ベストセラーを数多く送り出した中国の民間出版社「磨鉄図書」傘下の「文治Lab」。資金調達からコンテンツの企画、紙面の構成まですべて独立して運営し、「中国人の若者が独自に企画し、中国人の目線に立って、中国人のために作った『日本』を記録する雑誌」として注目されています。
 創刊号は、ポップアート作家の奈良美智とマシン・ライフというキーワードを中心に構成されており、今後は、日本の文化、アート、観光、クリエイティブ情報を掘り下げて報道し、記録することを目指しています。
 発表会では、日本側のゲストとして日本大使館の山田重夫文化公使、国際交流基金北京日本文化センターの杉田松太郎所長らが招かれました。杉田氏は「中日の交流が新たな段階に入ったことを意味する」と『知日』創刊の意義を語ってくれました。
 また、来場した日本文化の研究者は「これまでにない視点で日本を紹介しており、目新しい印象を持った。今後も継続的に注目していきたい」と感想を言っていました。
 隔月刊で、年6冊の出版を目指し、定価は35元。全国の書店のほか、オンラインでも販売されるということです。