真夜中の赤信号

数年前に、中国人の書いた日本人イメージのエッセーを読んだことがあります。

「日本人の考え方は硬直で、融通がきかない。
 その一つの例は、真夜中、道路がどんなに空いていても、
 日本人は決して信号を無視してまで車を飛ばすことはしない」
大雑把なところ、大体このような意味になります。


どちらかと言いますと、真夜中の信号遵守を笑いものにしていたような
書き方でした。
しかし、果たして中国ではどうでしょうか。
つばめが観察した結果、結論的に
中国人も真夜中でも信号をきっちり守っています。


自由奔放な中国人は、どちらかと言いますと、
道路は空いてさえすれば、誰でも利用できるものだ
というような考え方があると思います。
道路のことを中国語では「公路」と呼んでいるので、
まさにこの考えが呼び名そのものにも反映しているように思います。
それから、信号を守らない通行人が今もいることもその一つの例といえましょう。
それでは、真夜中の信号が何故、守られているのでしょうか。
あるタクシーの運転手さんに話を聞いてみました。


Q それは、カメラがあるからでしょう?
A それは違う。カメラがなくたって信号は守っている。
Q それは何故やろう?
A 習慣かな。(数秒おいて)
  つまり、こういうことだ。
  信号は守らなければならない習慣を身に着ける必要がある。
  もしそのような習慣がなくて、道路が空いていれば、
  信号を無視して道を渡ってしまうと、
  一回や二回では確かに、事故る確立は低いかもしれない。
  しかし、そんな悪い習慣を身に着けてしまうと、
  10回中、一回ぐらいは事故に出会う可能性は極めて高い。
  安全を確保するにも、良い習慣を身に着ける必要がある。


なるほどなるほど。
何も国民性にかかわるようなことでもなく、
実用性に迫られて自主的にこのような習慣が定着したのですね。
頷ける!