今日のTaxiDiver:気が利くタイプ

上海から突然、友達が遊びで北京に入りました。
「今から空港に向かうので、
 夜時間があれば、一緒に食事しない?」
昼過ぎに電話をもらいました。
さすが、上海と北京が空中EXPRESSでつながる時代。
市バスに乗る感覚で来られる便利さ。
夜の7時半過ぎに、無事到着の電話をもらい、
建国門付近のしゃぶしゃぶの店で落ち合うことになりました。


今回は珍しく気の利くタクシーの運転手でした。
いつも乗ると、運転手と話をするようにしているが、
今日は電話での連絡があるので、しばらく無言にしました。
客が黙っていれば、運転手も歩調を合わせてくれて、
もくもくとラジオを聞きながら、運転するだけ。
当たり前といえば当たり前ですが、
そうじゃない運転手もいる痛い体験もあり、それだけで感謝していました。
ところで、こちらが電話を耳にあてたとたん、
運転手は言わずとも、ラジオのボリュームを下げてくれた。
こんなことを頼まなくてもやってくれた人、今まで初めてかもしれない。
嬉しい気配りだ。


電話が終わり、こちらから語りかけたら、
たいへんおしゃべりな人のようでした。
「土日も渋滞がやまないね」から始まり、
「マイカー買うと絶対損する時代だからね」と丁寧に分析してくれました。
「10万元台の車を買い、それを10年間運転するとする。
 道路使用税もあり、駐車代や、
 使っても使わなくても、払う税金などもあるので、
 毎月のランニングコストは1200元かかる。
 仮に遠く行かない車にして、年間の維持費は1万2000元以内で収めるとする。
 10年後にはただの鉄くずになる。
 それよりも必要な時に、リースしたほうが良い。
 まあ、スキルの向上が目的ならば、
 2〜5万元で、中古でも買ったらどうですか。
 ぶつかっても心痛く思うことないし…」


根気良く、丁寧に分析してくれました。
下車の時、インパネのところに、
手のひらサイズの阿弥陀如来の像を飾っているのを見ました。
由来を尋ねてみました。
北京大学で乗ってくれた福建省の和尚さんからいただいものです。
 ぼくは特に仏教徒ではないが、
 『こういうものはたやすく贈与してくれるものではないので、
  やはり、あなたと縁があることを感じて、くれたに違いない』、
 と皆がそういっています。
 だから、写真屋に行ってビニールのカバーをつけてもらい、
 こうやって飾らせてもらっています。
 あれから、2年経ちます。この間、一度も警察に引っかかったことがないし、
 無事、順調に運転できました。感謝しています。」


満ち足りた笑顔を浮かべていた運転手でした。