五つ星トイレ+ガソリン値上がり

■今日の北京その一)


ガソリンが本日から値上がりしました。
春先に、一度、ガソリン値上がりのうわさが飛び回り、
ガソリンスタンド前に車の長蛇の列ができた出来事があり、
市政府は、「デマです」と声明を出したほどでした。


しかし、今回はまことです。
しかも、値上がり幅はかつてないほどに高いものです。
これまでは普通は、1リットル0.3元から0.4元ほどの値上がりでしたが、
今回は0.8元以上に達しています。


オクタン価93のガソリンは5.34元/リットル→6.2元/リットルになり、
1リットル当たり0.86元の値上がりです。
軽油は5.29元/リットル→6.23元/リットルになり、
1リットル当たり0.94元の値上がりです。


タクシーの運転手は「一日、40元ほどコストが上がる」と言っています。
去年、値上がりした際は、政府から「毎月150元」の手当てが配布されました。
人にもよるが、値上がりしたコストの半分か三分の一がカバーできると言われています。
しかし、今回は、今のところ、まだ何も政府の施策は発表されていません。
「次回、ガソリンが値上がりしたら、運賃も値上がりすると政府は
 約束してくれたのに、全然そういう動きにはならないね」。
一方、北京のタクシーは個人タクシーが極めて少なく、
最も普通な携帯は、毎月、所属のタクシー会社に管理費として
5000元〜7000元を支払い、後は個人の収入になるという制度をとっています。
そのため、「ガソリンの値段が上がると、
すべての損が運転手が補填することになる。
タクシー会社にはなんら影響が出ない」というところに不満も高いようです。


一日、40年もコストが高くなると、
一ヶ月は1200元も利益が減ることになる。
利益が下がった分、一生懸命に働く時間を延長して、
がんばっていくしかない。
元々楽ではないタクシー運転手の仕事が、
益々厳しくなる一方です。


●ガソリン値上がり関連報道は以下から↓
http://j.people.com.cn/2008/06/20/jp20080620_90040.html
http://j.people.com.cn/2008/06/22/jp20080622_90066.html
http://j.people.com.cn/2008/06/21/jp20080621_90048.html


■今日の北京その二)


本格的な日本Funsが育っています。
Coseplayが始まったのは十年ほど前。
当初は、自分たちで材料を買ってきて、
衣装を作っていましたが、
いまや衣装は専門に対応してくれる仕立て屋まで
できたほどで、商売はなかなか良いらしいです。


聞くところでは、一番最初のFunsたちは
子持ちになり、「親」の代になった人も出始めています。
日本のアニメやJ-popが好きであることは変わっていないようです。


「これからは劇団を作り、オリジナルな舞台も作りたい。
 将来はビジネスとしてやれるようになりたいな」、と
Coseplayの関係者が大きな夢を語りました。


■崑崙飯店のトイレ


崑崙飯店は、改革開放後に、北京で最も早くからできた五つ星ホテルの一つです。


トイレには、給仕さんのような服務員が常時配備されています。
今日も、そこでいつも見かけるおばちゃんに会いました。
年は60歳前後。真っ白なユニフォーム。赤く塗っている唇。
顔と目もとは常に微笑んでいる。
濃厚な北京弁を話す。独特の北京人のプライドがあるし、
オーラーが漂っている。


「ニイハオ!」笑顔で、響きの良い声でいきなり挨拶されます。
手を洗い終わる前から、紙お絞りを2枚用意して、
そばに立って、いつでも渡せるように待機しています。


率直な気持ちを言わせてもらいますと、
ここまでしていただくと、恐縮千万です。
静かに、はやく用を済ませたいところ、
明るく「ニイハオ」と声をかけられ、
暖かく出迎えられると、どうしても、気分的にずれを感じますし、
けち症の私には、紙お絞りはとても2枚も要りません…


しかし、そんなことはとうてい、口に出しては言えません。
五つ星ホテルに来てしまった以上、
いやでも、受けなければならないサービスでもあります。


さて、笑顔北京おばちゃんの方との話に戻ります。
崑崙飯店に入社して、まもなく20年になる。
元々は北京の電子城と呼ばれている酒仙橋の電子工場の労働者。
最初はバイトで勤めはじめましたが、そのうちに、正式社員に転入。


一方の国営電子工場はその後、次から次へと経営不振になり、
レイオフ者が後を継ぎませんでした。
「私の人生には、安定した生活を送ることが一番の目標。
 ここにいれば、毎月、千元ほど安定した給料が入るので、満足している」。


「チップはあるか」については、
「欧米のお客さんで、レベルの高い方からはたまにくれる時がある。
 いまやくれるなら、5元や10元(80〜160円)が普通だ。
 昔のように一元や2元で良いと思う人がさすがに少ない。
 しかし、たまには、外国人で、中国のお札を知らない人がいて、
 0.1元のお札を1元と勘違いした人もいる。
 1元ならはともかく、0.1元だと、いまの世の中は
 何ができる。悪意はないと思うが、
 その場合は、受け取らないことにしている。」


そうこうおしゃべりしている内に、
ホテルのスタッフの模様の若い女性が入ってきました。
とたんに、おばちゃんが声を潜めて、
二人だけで耳元で支えあうようになりました。


さて、そんなところで、ヘアが素晴らしい形にスタイリッシュされた
中年の女性が入ってきました。
おばちゃんは再び、丁寧に挨拶をして、
蛇口の水をあけておいて、女性が手を洗うのを待っていました。


さらに、また、入ってきました。
今度もは若い女性のようです
(つばめは残念ながら、見えませんでした)。


女性が出ていった時、
おばちゃんから「告白」の声が聞こえました。
「あなたのことが大好きです!!
 番組は見ていますよ」。
どこかのテレビ局の司会者のようです。


スタイリッシュしたヘアスタイルの女性が用を済ませて、
トイレを出ました。
「再見!」
おばちゃんは微笑んで見送りました。



若い女性は○○テレビの○○さん。
 さっきの女性は、上海市の副市長だったのよ」。


うんんうんん。納得納得。
老若男女、どの人も確かにトイレに対しては、
「不動のニーズ」がある。
20年間、ずっとこの職場にいれば、「森羅万象」を見てきたはず。
観察力と情報通の人は、どこにもいる。
小さなトイレットルームは、社会を覗く大きな窓口。
中国のここ20年の変化は、こんなところにも現れているとは、
驚きました。