complexな修理物語

北京は雨が降ったりしていて、梅雨のような天気が続いています。


締め切りがとっくに、とっくに過ぎたリポートを
ずっと提出できずに、悪戦苦闘しています。
まだ目処がたちません。泣く、泣く、泣く


さてさて、先日のブログで書いた「アバウト」の話ですが、
裏があることが初めて知りました。
家の台所のタイル修理工事に来てもらった
物件管理会社の作業員は、
水漏れ修理工事の担当でもありました。


先日の話をもう一度話してみると、こんな会話になりました。


つばめ:しかし、原因が分からずに、直ったのは、
    不安ですね。
作業員:そうですね。
つばめ:しかし、おかしいですね。
    どうしてひとりでに直ったのですか。
    本当の原因はどこだったのですか。
作業員:それは、私からは言えないですね。

???
。。。


どれどれ、今のが初耳ですよ。


つばめ:ということは、あなたは知っているのですね。
     本当の原因は。
作業員:しかし、それを決して言わないと心を決めました。
    それは、どの家もそれぞれ、たいへんな事情があるんじゃないか。
    そんなのを、ほかの家に知られたら、かわいそうだと思いましてね…


アバウトな回答しか話さなかったのは、わざとそうしか話さなかったからですね。
特定の家が原因だったとみなに知られたら、
私の家のすぐ下の階にあるおばさんのように、
「賠償しろ」と言い出す人が出てくるかもしれません
(そのおばさんも決して悪い人ではなく
 その後も私は色々お世話になっていますが)。


そういう事態にならないように、なあなあな返事しかできなかったのですね。


しかし、これは、決して良くないことじゃないですか。
場合によっては、水漏れの元だった家は何も悪いことはしていなく、
デベロッパーの使っていたパイプが劣化して、
寿命が来たため、水が漏れてしまったかもしれません。
そうなれば、個人の責任ではないはずですし…


色々追跡していけば、真相がもっと分かってくるはずですが、
そういう展開にならないよう、
とりあえず、結果オーライで誤魔化したわけですね。
。。。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
話は戻るけど、作業員のおじさんとの付き合いは結構疲れます。
「故郷はどこ?」といきなり聞かれて、
安徽省です」と答えると、
安徽省のどこ?」とさらに、追加質問される。
答えてから、おじさんからは、
「えらいね。北京でマイホームが買えるのが、すばらしいことじゃないか!」、
と、ほめられてしまう。
職場の場所も聞かれて、
「いいな。私の家はあなたの職場のすぐ近くだよ。
 どうだろう。毎月は五六千元はもらっているだろう。
 うらやましいな。僕の場合は、一月900元しかないのよ」
  。。。


さらに、
「あなたの職場はたのしそうだから、
 もし何か面白そうなイベントでもやることがあれば、
 僕に教えてね。家内が退職して、毎日、暇しているので、
 遊ぶことがあれば、遊んでもらいたい。ハハハハ」


苦手な会話はまだ続く。
「あれあれ、何でお子さんが一緒じゃないの?」
 。。。


そして、修理工事の半ばで、
新しく買ってきたタイルと元々のタイルと、微妙に大きさの違いがあり、
最後の一枚になると、
わずかの差で、埋まらなくなりました。


さっきまで、「隣同士ですから、
これからも困ったことがあれば、何でも声をかけてください」、
と意気揚々だったおじさんは、
投げ出してきました。


「こんなことになると知っていれば、
 絶対、引き受けなかったのに」。。。


額から汗が出てきて、手の甲まで汗びっしょり。。。
しかし、入らないところは、とにかく入りません。。。


このままだと、こちらも困る。
床にタイルの破片や接着剤、セメントの粉などが散在している。
壁はでこぼこで、とても完成したとはいえません。
私のできることは?
慌てて団扇を出して(今年は初使用)、
一生懸命に涼風を送り、励ましてあげました。
「もう目処が見えたじゃやない。大丈夫大丈夫。。。」
やれやれ、
こちらこそ、こんなことになると知っていれば、、、


おじさんは50代。もともと国営工場の動労者。
北京の生まれ。
住まいは私の職場のすぐ近く。
元々は村落だったところですが、
都市開発ですっかり町に取り込まれ、今や高層住宅に様変わりしました。
おじさんも再計画で、家が取り壊された分、
一平米4000元ほどの補償金で、高層住宅に100平米の家を2軒購入しました。
ちなみに、北京の不動産はぐんぐん値上がりし、
現在の価値は買った時の4倍にまで膨らんだそうです。


さて、そのおじさんの元々の家は、広さ300平米ほどの広い家でした。
その一部は貸家にして、
私の故郷の安徽省から来ている出稼ぎ労働者に貸し、
毎月、家賃収入が2500元ほど入りました。
左官の真似事ができるようになったのは、
出稼ぎ労働者たちの仕事ぶりを傍から見て、覚えたのだそうです。
しかし、上手か下手か、見ていても良く分かりませんでした。
ただ、良く、手を道具にして仕事していると思っています。
白いセメントを水で溶かし、それをほぼ、
すべて指を使って、隙間に入れていたのでした。


やっと難関も過ぎて、
おじさんは心がリラックスしたからでしょうか。
雑巾で壁をきれいにふき取り、
「ついでだから、きれいに掃除してあげますね」。
再び、サービスが良くなり、こちらが感動しました。


最後にまたエピソードがありました。


つばめ:お疲れ様!いくらお払いすればよいですか。
作業員:適当にどうぞ。お任せです。


とにかく、それまでにも何べんも聞いてみましたが、
決して、金額は言ってくれませんでした。
ちなみに、この修理は、おじさんは
勤務時間のアルバイトとして引き受けてくれたものです。
こちらとしては、修理してくれるなら、ありがたい気持ちでいっぱいです。


つばめ:では、100元で足りるかしら。


決して、少なくはないと思いますが、
途中、投げ出しそうになったほどたいへんな思いをしたことを
考えると、励ましの気持ちを込めてそう決めました。
しかし、意外なコメントが戻ってきました。


「それだと、多過ぎです。
 こんなので100元をとったら、人騙しもいいところです。」


???
くれるお金が多いと文句をいう人がいるとは。。。
うるさいと思っていたおじさんを見直してしまいました。


「50元で十分です。
 今日は昼、家に帰らなかったので、
 昼食代代わりに、50元もらえば良いです」。


結局は、感動した私は、
「では、飲み物代にもう十元加えさせてね」と
無理やり、ポケットに十元札を入れました。


今、願っていることは、
台所の壁のタイルはもう二度と、
突然凄まじい音を立てて、崩れ落ちることのないことです。


「私がしっかり修理しといたから、もう大丈夫です、三年、五年はね。」


そうだったのか。住みだして5年になる家、
今回の修理でも5年ほどしか持たないのですね。
今のうちに、心の覚悟はしておかなくちゃ。。。