気まぐれタクシー物語・せっかち運ちゃんの話


チョウおしゃれなニュータウンにやっと行ってみることができました。
詳細はこちらです。
http://japanese.cri.cn/81/2008/11/03/1s128669.htm

さて、個性豊かな北京のタクシーの運転手さんの話です。


レストランを出て、タクシーをつかまえようとした時。
タイミングが悪いことに、丁度、道路に出た時、
疾風のごとく、「空車」マークの車が過ぎ去りました。


場所は小西天附近。三環路の内側。
本来は便利なところのはずです。
しかし、そういうところも、時によっては、
一台も来ない時があります。


数珠つながりのバスが行った後、2台目のタクシーが出現。
手を伸ばし拾おうとしたが、ちっとく減速の見込みは感じませんでした。
恐ろしくなり、思わず数歩下がりました。
もう過ぎ去るのかなと思ったところに、
運転手さんは気づいてくれて、車は急ブレーキでぴたっと止まりました。


「ど、どうしてこんなに急ぐのですか。」
運転手は北京っ子に良く見かける、ぷくぷくとした体型の方です。
「私の前に空車が走っていたから、
 それを追っかけて追い越そうと思って、ついつい。ハハハハ。。。」
「何故や?」


前の人も知り合いというわけではなかったようです。


「前に空車が走っていると、
 客は私のところに入ってこなくなるからです。
 タクシーの運転手は皆、自分の前に空車を走らせないようにしているのですよ。」
「…その論理が、ようわからへんな…」
「つまり、前に空車があると、必然的にその車が先に拾われてしまうということ。
 私が後ろから追い越そうとすると、
 相手も焦ってしまうので、
 私以上にスピードを出して、先へと行ってしまいます。
 先に行ってくれれば、今度はぼくと距離が開けるので、
 私はまた、自分の縄張りエリアが確保できるようになるのです。」


理屈にかなったよううで、かなっていないような話で…本当かどうか?
 

 「しかし、効果は疑わしいですよね。
  だって、ついさっきも、私を見逃そうになってたじゃないのか。」
 「大丈夫大丈夫。私の目が鋭いから、任せてください。
  しかも、客が誰も乗っていない時は、
  自分なりに空車を楽しまなくちゃなりません。
  その時は、飛ばしたり、追い越したりして、ドライブを楽しむのです。ハハハハ」


 爽やかな性格で、何でも朗らかに教えてくれる運転手でした。
「今日の商売はどうですか。300元はもう大丈夫ですよね」と聞くと、
右手のこぶしを握ってもち上げて、
「今日、家は11時頃、仕事に出たので、今は、こっちの手はもう300元稼げたな」と言い、
今度は左手に変わって、こぶしを握って上げてもう一度言いました。
「それからも、こっちの手も300元が稼げました」、と。


 「私は一人で運転するタイプ(単班)なので、
  タクシー会社には月、5170元を払っています。
  会社からは、月収450元に、ガソリン手当て600元を払ってもらっているので、
  実質、上納する代金は4120元ほどです。」
 ガソリン代に、いざ故障した時の修理のこともあり、
 毎日、最低でも300元の売り上げがコストとして消化されてしまいます。
 「五輪の中は、ナンバープレートの走行規制があったため、毎日700〜800元まで稼げたが、今は500〜600元が良いほうですね。」


 毎日の勤務時間は10時間ほど。ぷよぷよの体が座れば、キャビンがいっぱいになるほどです。
 狭い空間に負けずに、工夫して、仕事を楽しもうとしている運転手さんでした。