「では、誰が蟄居する?」

またまたニュース翻訳の時の出来事です。

バグダッドでの連続爆弾テロのニュースですが、
原文には
「根据美伊双方的协议,美军作战部队将在本月30日全部撤出伊拉克城镇。当地分析人士认为,各地蛰伏已久的武装势力正蠢蠢欲动」


“蛰伏”、どうすればよいのか、
「潜伏」とでもいうのか。けど、“潜伏”というと、
最近、中国で爆発的な人気を得たドラマの題名でもある。
なので、なぜか使いたくはない。
とりあえず、「蟄居」という言葉にして、Native Checkerに提出しました。
どのような反応なのか、見てみたい。

すぐに文句が上がりました。
「ニュースの翻訳にこんなに文学的な表現は要りません。
 それに、テロリストが蟄居するなんて…」
「では、誰が、蟄居するのですか」
「そうね。松尾芭蕉が蟄居するとかは言うけど…」
「なるほど!」
結果的に、「活動をやめていた」にしました。


中日辞書で調べて見ると、
(中)「蟄伏」→(日)1)冬眠する 2)蟄居する となっていました。
辞書はこうやって役に立つようで、立たないのですね。



朝、出かける間際に、パソコンのYahooで見出しをみました。
「マイケルさん 死去」
とうとうなのかと思いながらも、びっくりしました。


正直、私はマイケルさんの歌は良く知っているわけではありません。
いつも街角で流されて聞こえてきた何曲か以外は、あまり良くは知りません。
しかし、「BAD」と書いた彼のアルバム、
見たことのない彼の「ムーンウォーク」は、
We are the world」の歌声などは、どれも
中国人の1980年代の記憶の不可欠の一部でもあります。
彼の歌が中国に入ってきた時期は、
ちょうど改革開放して数年後で、中国がようやく衣食足りてきた時期。
流行歌(Pops)が登場しはじめ、テレビの普及とともに
カセットテープレコーダーが普及したばかりの年代でした。


謎めいた、不可解な行動が多いマイケルさん
外の情報に飢えていた当時の中国人にとって、
彼の歌やテープが、アメリカに直接触れることのできる
数少ない情報源でした。


マイケルさんのことは良くは分からないですが、
文化符号として、彼の名前が現していた価値観が
中国の若者に受け入れられた時期でもあります。
そういう意味で彼の死を悼みます。
またもうひとつの時代が終わりました。


ちなみに、マイケルさんを偲んで企画した
中国のウェブサイトの特集をいくつかピックアップしてみました↓
http://ent.sina.com.cn/y/mjdead/
http://ent.qq.com/zt/2009/mjforever/
http://news.baidu.com/z/09jackson/index.html
http://news.china.com/mjdead/
http://ent.enorth.com.cn/system/2009/06/26/004104548.shtml
http://news.xinhuanet.com/vhome/2009-06/26/content_11603370.htm
http://news.163.com/special/00013FR0/MichaelJosephJackson.html
http://bbs.ent.163.com/bbs/jiepai/143063406.html