消費者金融、中国にも登場

 “消費者金融”。
 3、4年前、通訳でその意味を伝えるのに苦労していた用語です。それが昨日の中国のメディア各社の報道では、
「消費金融公司試点正式啓動」というニュースが踊っていました。今日になってもその関連報道でにぎわっています。

 正確に言いますと、私も本当は「消費者金融」の意味が良く分かっていません。日本に滞在していた時、渋谷の街角をはじめ、大学生協の食堂など、いたるところできれいなひまわりが印刷してあるティッシュを無料でもらえる。それが私の消費者金融に対するすべてのイメージです。今になって、一度でもいいから、実際に利用していたら実感が湧くのにと反省していますが…
 それから、しいて遡りますと、私は大学を卒業してから最初についた仕事は北京の日本語学校での教師の職でした。同じ学校に勤めていた日本人先生の「弟はサラ金をしてたいへんな目に遭っている」ことは聞いていました。それぐらいのイメージなのかな。

 昨日の報道ではさっぱり具体的なイメージがつかめなかったのですが、本日のCCTVの報道でずいぶん分かったことがあります。
 ・北京、上海、成都の3都市で先に試行。天津が4都市目になる可能性もある
 ・対象は定職についている若者
 ・貸出上限は利用者の月給の5倍まで
 ・クレジットカードとは違って、キャッシングはできない
 ・利用者は「消費金融公司」に行って申請手続きをし、特定用途に資金が直接振り込まれる形のようだ
 ・試行段階では、融資の対象範囲は不動産ローンとカーローンを除く個人消費分野に限る(観光、結婚、教育、内装など可)
 ・利子はクレジットカードの返済金利よりは安いだろうと言われている
 ・遅くても今年7月までに業務開始できるだろう

 もっと詳細は、中国銀行の8日の記者会見記録を参照してください。
 私の偏見かもしれない、「消費者金融」に付きまとう「高利貸し」という「恐ろしい」イメージに関する報道はあまり見られませんでした。それよりも、消費者金融の柔軟性と創造性という面が強調されており、先進諸国では時間をかけて経験をつんできた成熟した金融制度」で、さらに「内需拡大」の効用も期待されているという感じです。
 個人的に疑問に思ったところは一点だけあります。貸出上限は「月給の5倍まで」となっていますが、月給はいくらもらっているのか、という正確な情報をどうやって把握するのかということです。事実、月給が中国人の実収入に占める割合がどのぐらいなものか、興味深いことです。