原爆記念日 CCTVの日本報道

 またもや一年が過ぎました。昨年は原爆記念日前に、広島を訪れました。テレビの画面で見えた青い空は去年の夏とちっとも変わりはありません。

 しかし、世の中のムードに大きな変化、もしくは大きな変化を孕む兆しが確かに現れました。本日のCCTVのニュースと国際問題の報道でも何度もこのことについて流していました。
 被爆から65年の記念式典に、これまで参加の要請を拒み続けてきたアメリカは初めて駐日大使を派遣し、イギリス、フランスなどの核保有国からも初めて外交官代表が列席し、さらに、パン・ギムン国連大使まで出席し、「核のない世界を作るために頑張ろう」と挨拶をしました。
 昨年の広島では、確か、核廃絶を訴える人々と日本は核武装すべきだと主張するグループとの対抗演説が行われたようです。それが、今年は非核化の陣営に世界の力が加わったとは心強いことです。中国からの参加者がなかったようですが、個人的には人類の災難をしのび、悲劇の再発を防ぐために参加事は意義があるように思います。

 さて、CCTVの報道の仕方について、流れを紹介したニュースのほか、キャスターと国際軍事問題専門家二人の鼎談の中でも10分ほど取り上げていました。
「原爆投下国のアメリカが初めて代表を派遣したのは何ゆえか」をめぐり、ゲストたちが意見を述べ合っていました。その主な観点は
 *内政では何一つ業績を築くことができなかったオバマ政権の点数稼ぎ
 *ウォール・ストリート・ジャーナルの社説に、(米大使の列席はアメリカの) 「暗黙の謝罪(“默不作声的道歉”)」だと書いていたことに留意
 *普天間などで一時期こじれた日米関係のよりを戻すためのイメージ挽回策
 *日米同盟の重要性への強調
 *将来の米大統領の広島、長崎訪問に伏線を張った
 *パン国連事務総長の列席は、「スローガンのみでノーベル賞を受賞した」オ  バマ大統領の面子への配慮、そして、「核のない世界」を呼びかける氏の声  援のためだ

 ゲストたちはアメリカは原爆投下について、オバマ政権の間で謝罪する運びにはまだならないだろうと見ています。
 ちなみに、本日のCCTVで日本関連の報道は主として二つでした。原爆記念日のニュースのほか、「幽霊長寿者」がもう一つの焦点でした。
 そういえば、先日タクシーに乗った時、運転手さんと雑談をすることになり、「最近、東京では実に不思議なことが起きました」と言っただけで、「あの111歳の長寿者のことでしょう」と普通に受け答えをしていました。メディアの力って、すごい!
 
 最後に、話を原爆記念日に戻します。毎年、厳かな雰囲気で被害者たちを偲ぶ式典をやり続けることは、かなりエネルギーの要ることに間違いないですが、ほんとにすばらしいことだと思います。
 歴史を忘れない気持ち、悲劇を繰り返さない決心。年に一度ゆっくり歴史と静かに対面する時間を持つことは、素敵なことです。世界各地から参加者が入り、それらの国の人々にとっての戦争の歴史とは何かも含めて過去と向き合っていただければと思います。