万博の残してくれたもの

 万博を追っかけ続けている上海の経済紙の女性記者2人組みと雑談することになりました。
 「万博は上海に何をもたらしたと思いますか?」
 「一番の変化はやはり地下鉄かしら。万博のお陰で、地下鉄の整備スピードがうんと速くなり、公共交通がとても便利になりました。それから、青空の日が多くなり、空気もきれいになり、町並みもきれいになったことかしら」
 「五輪開催の北京と似ていますけど、ハードウェアはさておいて、ソフトの面ではいかがですか」
 「大型イベントを主催、運営する力が鍛えられました。上海市にとって、管理レベルはたいへん良い練習をすることになりました。それから、市民のマナー向上にも良い影響があったし、世界各国の文化、最先端のハイテクに触れるチャンスがあったこと。私たちがインタビューした市民の中には、最初は万博に興味がなくて、会場に行くことに乗り気ではなかったが、一回行くと病みつきになり、もう十数回来てしまった人がいます。
 総じて言うと、上海の高齢者たちは万博が好きな人が多いようですね。高齢者割引だと入場券は一枚100元(正規価格は160元)で買えるので、お買い特ですしね」
 
 真っ先に出てきたのは上海市のハードウェアの変化だったというところにやや驚きましたが、おっしゃったことはたいへんご最もなことが多くて、素直に頷けました。
 「開幕した時は、どうやってこの長い半年間を過ごせばよいのか、ずいぶん悩んでいましたが、あっと言う間にもう20日ほどで閉幕となります。名残惜しいです」
 「これからの20日間に対し、一番期待していることは?」
 「何事(緊急事態)も起こらずに、無事に最後まで開催してほしい」


 万博は行列の長さに閉口してしまいますが、しかし、人々により良い未来とは何か見せる、もしくは見せる努力をしているところがとても良いアイディアだと思い直しました。
 万博のもたらしてくれたもの、もっともっと話を聞いてみたいと思います。