景洪的空間、混ざり合う空間

 頭を鮮やかな布の花のアクセサリーが包んだボーイの後について、長い廊下を渡り、本館からB棟に入りました。
 「このホテル、いくつ星ですか」
 「5つ星です」
 「ほう、そうなのですか」
 同じ5つ星だけど、こんなにも雰囲気が違うのですね。
 北京や上海など大都会の5つ星はどことなく、関係ない人を拒む色合いが強い。一方、先月行った海南・ボアオの海辺の5つ星は広大な敷地の奥にあり、浜辺の一角を占領していました。
 ところが、目の前の5つ星は下町の一部を借用している感じで、しかも、広い庭があるものの、囲いも壁もなく、オープンスペースになっています。大通りを挟めば、向こうは1杯5元の米線が食べられる路地があり、至るところに地元の住民が行く安物売りの売店や果物の屋台、串焼きの屋台が見られます。
 フレンドリー、というか、溶け込んでいるのですね。
 屋根はタイのお寺のよう、デコレーションの強いデザインとなっています。
 部屋の中のスペースも面白い。一番奥の静かそうな空間はベッドではなく、トイレとシャワールーム。ベッドはドアに一番近いところに置かれてありました。ベランダの外はもう少しで手が届きそうなところに、普通の団地のビルがそびえていました。

 どう見ても、本来は市民たちが日常生活を営む町ですが、観光客や会議客が多いので、仕方がないから、ホテル用に一部土地でも譲ってあげようかなという感じの建て方で、面白かったです。
 ちなみに、シーサンパンナーの総人口は100万人。このうち、景洪は10万人となっています。空港からタクシーにのること、十数分で市内に入り、こじんまりとした町はほんとに便利そうで、羨ましいです。
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 このホテルも“年会”シーズンの恩恵を受け、入り口にいくつも会社の横断幕が掲げられていました。
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 景洪の朝は様ざまな音や声で目覚めました。
 「おいおい!」と驚いたのは、ひっきりなしに鳴いた雄鶏の鳴き声でした?!
 一説によれば、その鳴き声は四川弁で言う「茶花開二朶」(コケコッコ)だそうです?!
 雄鶏のお陰で、明日もモーニングコールはいらなさそうです。このほか、自動車の音、ざわめく音、鳥のさえずり音。何でも混ざりあっています。
 5つ星ホテルで雄鶏に鳴かれて目覚める。シーサンパンナでしかできない最高の贅沢ではないかしら。
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 12月16日の景洪市。最高気温26度、最低気温17度。感覚的には、朝晩は9月末の北京のようで、昼間は真夏日の北京と同じく、まぶしい日差しがぎらぎら照っていました。

 私にとって、2度目の景洪です。前回は2004年5月でした。当時泊まったホテルの中の様子や地図を買いに行った新華書店の雰囲気、州政府宣伝部のオフィスなどが記憶の中にしっかり残っていますが、不思議と目の前にあるこの町にプロットすることができません。どこがどこだか、記憶は現実とオーバーラップできません。
 次回に備えてメモをしておきましょう。金地大酒店。開業は2年前からだそうです。すぐ斜め向かいは州政府所在地です。
 ついでに、夕べタクシーの運転手さん(空港から市内、メーター使わずに片道30元)に聞いたことですが、景洪の不動産価格は今は平米あたり3000元ほどですが、昨年同期は2500元で、3年前は1000元だったそうです。

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 昼間は会議で一日室内に閉じ込められ、缶詰状態。ホテルの中で出会ったスタッフたち、女性は美人の方が多いが、男性はジャニーズ系よりも小柄な人が多かった?のかな、という印象がありました。それにしても、これは十代だろうとしか思えない“幼い”スタッフもたくさんいました。
 夜はみなで瀾(シ倉)江辺に行ってきました。渇水期で水が引き、川原石しか転がっていない川辺をぶらぶらしてみたら、意外な収穫がありました。天然の足つぼマッサージができたことです。
 川辺の片方はTownHouseのような一戸建ての団地で、もう片方は2年前に整備したバーストリートでした。すべてダイ族風の伝統的な「竹楼」のような建築でした。トランプをする人、移動式スピーカーを動かしながら、ギターを弾きながら客のリクエストに答えて、1曲20元で歌うギターガール、花束を売りつけにくる人、手で編んだわら細工を売りにくる人などなど、なかなかの賑わいぶりでした。

 「景洪の雑踏は夜12時にならないと、収まらない」、と地元の人がこう教えてくれました。確かに、もう夜中の12時前なのに、大通りには溢れんばかりの人がいて、食べたり飲んだりしています。
 さすが北国の北京とはまったく違う世界!

 2日目のもう一つの発見:景洪の町、高くなりました!しかし、高層ビルが増えていることって、こののんびりした町にとって、果たして良いことなのかな。